三国時代を味わうには、基本的に原文と訳の『三國志』が有れば良いのですが、その他に色々な手引き書(以下、「工具書」と称します)が有れば、なおのこと便利です。
例えば、辞典・地図・索引が有るとかなり便利ですね。ここでは、そういった類の書籍を紹介することにします。
尚、中国史全般に使える、工具書はこちらで紹介しています。
三国志辞典 | 中国から出ている三国志の辞典です。かなり細かい項目までフォローしていますので便利です。 ただ、簡体字である点はどうにかして欲しいと思いますが・・・ 少なくとも引用文位は繁体字にして欲しい! |
---|---|
三国志研究要覧 | 新人物往来社 1996年の発行です。 現在までの三国時代&『三国志演義』研究水準を解りやすく紹介し、なおかつ論文目録まで載せてしまうと言う、非常にお得な本です。一冊持っておくとネタ探しに困りません。 ただ、前書きにも書いて有るとおり、ここに載せてある論文がすべてではなく、例えば私のHPに載せてある「曹眞殘碑」については触れていません。朱然墓についても『人民中国』1983-12で紹介されているのを落としています。しかし、これらのデータについては、所収されている論文や単行本などから辿っていけますので、そう問題ではありません。自分で漏れているデータを探すのもおもしろいですよ。 お値段:\3500 |
『中国歴史地図集』3 | これに関する全般的な説明はこちらのコーナーを見てください。 三国時代は三巻に含まれています。カラーで現代の地名と対比して当時の地名を載せていますので、見やすくて便利です。コピーすると区別が付かないので大変ですが・・・ 巻末に索引も付いていますが、日本人にとって、簡体字版では非常に引きにくいので、出来るだけ繁体字版を買いましょう(写真はもちろん繁体字版です。)。 |
漢代の文物 | 京大人文科学研究所 朋友書店再版1996 漢代の風俗や生活について、考古学の成果を用いてアプローチしてみようとした研究を本に纏めた物です。 三国時代の同様な研究は無いので、後漢の影響が残っているこの時代の習俗を知るためには、必須とも言って良い資料集です。 現物の写真ではなく、写真などからトレースした物が多いのは、発行時代の制約もありますが、もどかしくもあります。 ※改訂の話もあったのですが、嘗ての執筆者陣が忙しい為、延び延びになっていたのを、とりあえず再版と言う形で、再び世に送り出したそうです。 |
古代荊楚地理新探 | 武漢大学の石泉教授の書いた、挑戦的な文献地理学の書物です。 なんと「これまでの地名比定は間違っている。私の研究の成果では、南方の地名はもっと北に寄るはずだ! 」というのがその趣旨です。 本来は春秋〜戦国にかけての楚の地名を考察する研究なのですが、その元となったデータの関係で、三国時代も範囲に含まれることになりました。 例えば地図を見てお判りのように、「赤壁」が長江沿い洪湖の畔だとする従来の説に対し、漢水沿いの北緯31.5度〜東経112.5度辺りに比定しています。 学会では無視というよりも、当惑しているのが現状だと思います。東北学院大学の谷口満氏が、紹介文を書いていますので、存在は知っていても、見たこと無い方が多いかもしれません。 |
|三国志の頁|