イスタンブールヒルトン
イスタンブール ヒルトン

 

 

ヒルトンで泊まった部屋
ヒルトンで泊まった部屋

 

◎イスタンブールにて

 久しぶりのイスタンブールだ。湿気がある。港町なので当然だが。今までアナトリアのさっぱりした空気になれていたので、やはり湿気は不快だ。空港の外に出る。迎えの車が来ていない! オルハンがその辺のタクシーに聞く。何故タクシーの運転手なのかわからんが、車の流れを聞いているのだろうと、勝手に解釈する。そうこうするうちに車が来たので乗る。運転手はごつい親父だった。さすがに車が多い。やはりイスタンブールは大都会だ(1,000万人くらいだと言っていた。)。海岸沿いを走る。車窓にはマルマラ海が広がる。海には多くの舟が数珠繋ぎになっている。その殆どが、ボスポラス海峡を越える手続きのために、待っているのだそうな。さすが昔から東西の窓口たるイスタンブール。どこかの古都みたいに、町が死んでいない。

 ビザンティン時代の城壁を越えると、旧市街に入る。次第に町が雑然としてくる。アンカラもそうだったけど、ここはもっとごみごみしている。ここも交差点が十字路でない。なんか複雑なのだ。それとよく坂を上る。イスタンブールは、実は七つの丘を要する坂の町なのだ。これは迂闊だった。どのガイドブックにも書いてないぞ! おかげで後日町中を歩いたとき結構疲れたよ。本当に。単に運動不足だという説もあるが。

 どこかの交差点を曲がると、水道橋が見えてきた。ローマ時代の名残を留める、有名なバレンヌ帝の水道橋だ。実際残っているのは道路を跨ぐ部分だけだが。個人的にはすぐ下の別な跨線橋のガード下に、自転車屋があったのが印象的。イスタンブール観光には、坂があるので、自転車よりも原チャとか電動機付自転車の方が便利だぞと思う。

 金角湾を越える。湾と言うよりも、入り江だね。こりゃ。丁度夕方だったので、夕日が反射しつつあって、結構綺麗だった。

 橋を渡り、新市外に入る。丘を登る。タクシム広場という、新市外を代表する賑やかな場所を横目に見て、ホテルに着く。宿はイスタンブールヒルトン。高級ホテルだ。何せ、ホテルの門から入り口までが遠い。昔、漫画で見た豪邸で、よくそんなのがあったが、実際に体験すると、「入り口が遠い〜!」 と結構不便。まあ、金持ちは歩かんだろうけどね。普通。

 ホテルに入る。オルハンが「食事は八時にロビー集合ね。他は配った紙に書いてあるよ。」 と言うやいなや、風のように去る。恐らく例の彼女と約束でもあったのだろうと、皆でささやく。一昨日・昨日・今日の午前中とひっきりなしに携帯電話にかかってきたのは、彼女からのチェックに違いない。絶対尻に敷かれるタイプだな。うん。

 部屋に案内される。ああ、すっかり忘れていたが、トルコの階の数え方はイギリス風だ。1Fと書いてあると、大体我々の感覚で言うところの二階か三階である。おかげでなんだか得した気分になったのは、日本人故か? エレベーターを降りる。おお、廊下が長い! 中学校の廊下を思い出したくらいだ。長い廊下に戸惑いながら(大体夫婦して、学生時代も結婚してからも、長い廊下という生活になれていない。)部屋にたどり着く。またこれが広い部屋だ。天井が高い。高さ制限のおかげで、天井をケチって一階増やしている京都の賃貸マンションとは偉い違いだ。ベッドも高い。落ちたらマジでけがをしそうだ。ついでに洋式便器も外人向けだ。足が短い私には酷である。窓からボスポラス海峡がよく見える。向こう岸はアジア・こちらはヨーロッパである。初めて私が足を踏み入れたヨーロッパが、ここイスタンブール。長安にも行ったし、飛行機で上も飛んだし、これで一応シルクロードを制覇したことになるわけだ。と奥さんに言ったら呆れていた。自分こそ、海峡を見て「あれの向こうはウクライナ!」 と言っていたのを覚えているぞ!(一部脚色) この海峡、どう見てもちょっと幅の広い川にしか見えない(最深部で660m。東海道新幹線の木曽川橋梁(約1km)より狭い。)。昔飛行機から見た長江の河口の方が広そうだった。しかし、ここは昔から歴史の舞台になったところだ。色々な妄想にふけるのにはもってこいの地である。

 食事まで間があったので、やることは一つ。洗濯だ。カッパドキアでもやったのだが、私は汗っかきなので、着替えが少ない以上、まめな洗濯は欠かせない。バスタブに行く。トイレの便器の横に、陶器製のなんか変な容器がある。洗濯をしているときはわからなかったが、後であれはハマムの時に使う水入れであることに気づく。さすがトルコだ。風呂もひと味違う。

 洗濯を終える。部屋にはバルコニーがあるので、外に干すことにする。外は結構ムッとする。取り敢えず干す。結構風邪が強そうなので、その辺りに気を使う。道ばたにトランクスやら、ピカチュウのTシャツやらが落ちているのは、恥ずかしいものがあるからねえ。


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